2016年12月2日金曜日

国宝・童子切安綱


最近、この日本刀のことが気になってしょうがない。

東京国立博物館の所蔵品で
国宝展で見た覚えがある。
千年以上前に製造された刀なのに、
ビッカピッカ。
信じられない美しさ。

指定第一号の国宝で、
最古級の日本刀であり
すべての日本刀の最高峰とされる。

どうじ きり やすつな
と読む。

童子(どうじ)は、酒呑童子の事。
平安末期、大江山に住み着き、乱暴狼藉で
都を震え上がらせた盗賊の頭目。
無類の酒好きだったことから、
この名で呼ばれたそうな。

討伐の勅命を受けた源頼光が
その首を落とすのに使った
なので、童子切(きり)。

安綱(やすつな)は
この刀を作った名匠の銘。

酒呑童子討伐物語は
「大江山」と呼ばれ
歌舞伎や謡曲などで
昔から繰り返し演じられてきた。
明治の頃まで、日本人なら
誰もが良く知るストーリーだったようだ。

でも、鬼になったり、切り落とされた首が
頼光の兜にかみついたりして
かなりエンターテイメントに脚色されている。
名前の由来はマユツバものだ。

でも、その伝説をまとうこの日本刀自体は
「ザ・日本刀」
「キング・オブ日本刀」
と言っていいほど、凄みと美しさを身にまとう
問答無用の名刀。

まず実力がハンパない。

江戸時代、津山松平家に渡ったとき
町田長太夫という剣の達人が、
死体を六体重ねて試し斬りをしたところ
この世のものとは思えない切れ味で
一気に切断できたという。

確かめようがないけど、
ただの美術品とは一線を画す
なんとも震え上がるような
エピソードではないか。

もっとすごいのが、来歴だ。

足利将軍家が代々所有し、
15代義昭の時、豊臣秀吉に渡り、
その後、徳川家康、秀忠と受け継がれたそうな。

いわば、天下取りのアイテムだったわけだ。

でも途中、秀吉は手元に置くのを嫌って
刀剣の鑑定や研磨を家業とする
本阿弥家に預けてたという。

つまり、秀吉がビビるくらい
場合によっては、所有者に
災いをもたらす、「魔剣」「妖刀」という
負の側面もあったかもしれない。


さて、この刀をつくった安綱なんだけど、
直刀が主流だった日本の刀剣に
はじめて「反り」を導入した刀工なんだって。
つまり、世界の刀剣の中で
独特の形状を持つ
いわゆる日本刀は、
安綱が始祖ということになる。


そしてこの安綱は
古くよりたたら製鉄の地であった
日野川近く、伯耆大山のふもと、
大原という地で刀工集団を率いていた!
なので、伯耆安綱、大原安綱とも呼ばれる。

ううむ。
地元にこんなスゴイ伝説の人物がいたとは。


たまたま、今朝の新聞(12/2・日本海新聞)に
日本刀「童子切安綱」の事が載っていた。



筆者の石村隆男さんは
地元で長く地域おこしに尽力されてきた名士。
記事の見出し
「大山山麓は日本刀発祥の地」
には、この日本刀と刀工に脚光を当てることで
地域活性化の起爆剤になったらいいな、という
思いがヒシヒシ感じられる。

ワタシも同じ思いだ。



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