2017年9月4日月曜日

クチナワさんに会えた!

ず~っと観たかった行事に
何年か越しでやっと参加できた。
「上淀の八朔(はっさく)綱引き」


神社の賽銭箱に仮り置きされた
不思議なキャラクター「クチナワさん」。
前長50メートルにもなる大蛇の頭部だ。
ヘビなのに耳があったり、飛び出す鼻があったり、
眼より大きな鼻の孔まで表現されている。
オスかメスか判別しにくいけど、
白い花飾りをしているところを見ると
メス、いや女神さまなのかも。


地区の人が力を合わせて
稲ワラで大蛇の胴体部分を
綯っていく。


古くからある地区の目抜き通り
(といっても、車一台が通るのがやっと)
に運び込まれたクチナワさん。


太鼓の合図で住民対抗綱引きが開始。
ワタシも下地区に加わって、一緒に
クチナワさんをひっぱらせてもらった。
上地区が勝つと、麦の豊作
下地区が勝つと、コメの豊作と
収穫の秋を占うとされている。
でも、勝負というより
住民どうしで力を合わせる
リクレーションのような感じ。
結果、1勝1敗一分け(お約束?)

国の選択無形民族文化財に指定される
貴重で珍しい行事とはいえ
実にアットホーム。
神事でこの気さくさは、とても居心地がいい。
昔は縁日の屋台が立ち並んで、
もっともっとにぎやかなお祭りだったんじゃないか。
想像するとちょっとサビシイ。

多くの人が改めてこの行事の魅力と重要性に
気が付いて、にぎやかにならないもんかなあ。

「しめ縄の起源は淀江」だと主張する
ワタシにとって、クチナワさんは
重要な根拠の一つなんだから。


神社に戻ってみると、
新しく作られたばかりのクチナワさんの頭部が
石塔の上に飾られ、
一年間飾ってあったクチナワさんが
神社の脇に無造作に打ち捨てられていた。


綱引きに使った50メートルの胴体も、
綱引きが終わるとお役御免で
さっさと撤収、地区のはずれに野ざらしにされ
そのまま朽ちるにまかせられる。
ついさっきまで「ご神体」だったはずなのに~。
でも、この執着のなさが、面白い!

つまり、しめ縄とはヘビを
シンボライズしたものだという説を
裏付ける慣習であり、光景だから。

クチナワとは「朽ちた縄」のことだ。
ヘビは脱皮して蘇る。
若返り、不死の象徴だ。
打ち捨てられたのは抜け殻にすぎない。

大蛇・クチナワさんは一年に一度
上淀にあらわれ、脱皮をして再生し、
人びとに恵みと安心を与え、去っていく。
この地で何百年も繰り返されてきた、
まさに永遠の再生、不老不死の儀式。


また来年、会えるかな?







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