2018年2月26日月曜日

小春日和


おだやかな朝の皆生海岸。
まさに小春日和。
ふだんは厳しい波涛が叩きつける日本海
三角波の向こうに島根半島が見えるのだが
今日は影も形もないのは、海面にけっこうな量の
水蒸気が出ているせいだろうか?

特に厳しかった今年の冬も
そろそろ終わりなんだろうな。

とはいっても、まだまだ天候が変わりやすく
あっというまに冬に逆戻りする。
冬と春がせめぎ合う風景がダイナミックで
ワタシは山陰のこの季節が一年の中でもっとも好き。

朝、外に出ると一面の雪景色。
冬ががんばっている。
が、重く垂れこめた灰色の雲を割って
春の陽光が地表を照らす。
みるみる雪が融けて、冬を蹴散らしていく。

負けじと冬は北西の強風を使い、
雲をぐんぐん補充しようとする。
光のすじがこれを薙ぎ払うように現れる。
冬と春が覇権を争って、チャンバラしてるようだ。
その有様は、まさに神々しい。
山陰は神がおわす土地だ、とまざまざと実感する。

ところがこのスペクタクルな光景を、
自分以外の誰も見ていないのではないか、
近くに誰もいない。もったいない~!

神々の光景を独り占め。
山陰旅行をするなら、この季節だと思うな。






2018年2月25日日曜日

米子とバンクーバー


米子美術館で始まったシンディ望月展。
オープニングの式典におじゃました。
真ん中の小柄なスカートの女性がシンディさん。


セレモニーの後、キュレーターの原万希子さんと共に
作家自身による作品解説。


アニメーションとインスタレーションが
組み合わさった不思議な空間。
マルチメディア作品展。

二人ともカナダのバンクーバー在住なのだが
不思議な縁で米子に呼び寄せられ
もはや、第二の故郷となったと、語った。



招へいされた現地で芸術を生み出す
アート・イン・レジデンスという活動が
バンクーバーと米子という二つの町を時空を超えてつなぐ。

シンディさんも米子に訪れた最初のうちは
バンクーバーの近くにある湖と、中海が
夕陽に輝く美しさが似ているなあと
共通点を発見する程度だった。

中海遊覧船の船頭さんに教わった
今はない「たつみ」という料亭の話。
中海に浮かぶ萱島で
戦前、謎の美人女将が経営する料亭は
米子のお金持ちの間で評判だった。
シンディさんは、この料亭とバンクーバーが
時空を超して繋がっていたという、
ミステリアスなファンタジーを思いつく。

ストーリーに肉付けをするため、
史実をいろいろ調べ、萱島にも上陸。
米子滞在中に、マスコミなどを通じて、
当時の「たつみ」を知るお年寄りと出会い
インタビュー取材をした。

しだいに米子で知り合う人の縁や
掘り起こされる歴史的な偶然が
ただ事ではないことに気が付いた。
それはバンクーバーに戻ってからだった。

実は、今から100年以上前に弓ヶ浜から
バンクーバーに渡った開拓団があったそうな。
人種差別や過酷な労働条件のもとで、
大変な苦労をされたようだ。
ところが、祖国の家族や友人にあてた手紙には
豊かで幸せな暮らしをしているという
まったく逆の作り話が書かれていた。

当時の開拓団の写真が残っているが、
森に入って、作業している様子なのに
なぜかみな、サスペンダーに白いワイシャツ
一張羅の洋服を着ている。
これを見たら、日本の人は、
開拓団は実にカッコよく仕事をして
優雅に暮らしていると勘違いしただろう。

地獄のような入植生活をなんとか改善したい。
日本から助けを呼びたい、
なんとか海を渡ってきてほしい。
そのためにはウソをついたという、切ない話だ。

シンディさんはバンクーバーで
このころの米子の人が
地元に残った人を呼び寄せる手紙を
発見したという。

展覧会場の横ではそんな歴史がわかる資料、
写真や書籍なども合わせて展示されている。

芸術家の思いついたファンタジーが
実在の歴史を呼び起こし
新しい繋がりを生んで、広がっていく。



2018年2月24日土曜日

たたら


「たたら」とはふいご装置のことである。
砂鉄を溶かす際、炉内の温度をあげるため
強制的に空気を送りこむ仕組みを
「たたら」と呼んだ。
ふいごを踏む係は「番子(ばんこ)」といい、
交代で作業を続ける。
これが「かわりばんこ」の語源なんだとか。

2018年2月23日金曜日

あの年も雪が・・・



ひさしぶりに立ち寄ったレストランで
注文したカツカレーを待っていたら
珍しい人に再会した。
91歳になるMさん。
米子の町屋で一人暮らしをしているおばあちゃん。
席を移って、ランチを一緒に食べることにした。

非常に頭脳明晰な方で、昭和の話題になると
まるで昨日のことのように教えてくれる。

Mさんは幼児期を日本統治時代の台湾で過ごしたそうな。
ダム建築に関わる設計技師だったお父さんの仕事の都合で
内地に戻り、東京の赤坂見附にある
女学校に通うことになった。

Mさん「台湾は温かったのに、東京は大雪でねえ」

ゴロ「東京はたまに雪が積もって、
そのたび騒ぎになりますよね。昔からなんですね」

Mさん「でも・・・まさか、
あんな大騒ぎになるとは思いませんでした。
銃撃事件が起こって、帝都は大混乱」

ゴロ「は?・・・それって、もしかして」

Mさん「2月26日、
ちょうど今時分でしたねえ。」

ゴロ「ぐわっ!2.26事件ですか!
兵隊と、で、出くわしたんですか!!」

Mさん「直接は見ません。でも、
学校が赤坂見附だったもんでねえ。
焼けた跡とか、壊れた建物とか見ましたよ。」

Mさん…スゴ過ぎる!
昭和11年、歴史の生き証人!


2018年2月19日月曜日

ぐっすり米子


米子市の新しいアメニティグッズが出来ました。
トートバッグです。
「ぐっすり米子~宿泊拠点都市~」
というキャッチフレーズと
すやすや眠っているキャラクターをあしらいました。
布団をかぶっているようにも、
うつぶせに寝ているようにも見えます。
意外かもしれませんが、
ゴロ画伯のデザインです~。

米子市は有名な観光地ではありませんが
山陰のど真ん中にあり、山陰の玄関口です。
交通結節点なので、宿泊地に選んだら、
非常に便利です。
美味しいお店がたくさんあるので
お腹いっぱい食べて、舌つづみをうって
次の日の山陰観光にそなえて
ぐっすり休んでもらいたい、
という思いを込めたデザインなのです。

これから各種イベントなどで配ろうと思いますが、
欲しい方は、米子情報局どげな?
(米子市法勝寺町70 ダラズクリエイトボックス)
に、どうぞお越しください。


2018年2月16日金曜日

日本刀のふるさと


日本一人口が少ないことで有名な鳥取県の中でも、
さらに人口の少ない日南町にある
「たたらの楽校」を取材してきたよ。
米子で日本海にそそいでいる日野川の源流を
遡った山深い土地。
すっかり雪が融けた平地にくらべ、
山の上にある盆地は一面の雪原だった。
ふだんは展示していない
玉鋼(たまはがね)と日本刀(脇差)を
間近に見せていただいた。
銀色の隕石みたいな塊が、玉鋼。
たたら製鉄によって得られる鉄の中でも
最も純度が高く、
全体のほんの数パーセントしか取れない
稀少部位だそうな。
鉄の大吟醸というわけか!
玉鋼は純度が高いので、なんと錆びないらしい(!)

手に取ってみたのは初めてなのでコーフンした。

いっぽう、黒紙の上に置かれた
赤茶色の塊は純度の低い鉄で、
のした鉄板の形で流通し
農具などに使用されたそうな。

ちなみに砂鉄の世界三大産地は
カナダとニュージーランドと
日本列島。
その日本の鉄生産の7割8割を
まかなっていたのが山陰。
特に、砂鉄を獲るために山を切り崩し、
大量の土砂を日野川の下流に流したため
堆積してできたのが
米子のある弓ヶ浜半島だと言われている。
その分量はなんと
現在の米子市全域に
高さ1.9メートルの量!に達するそうな

大袈裟に言えば
米子人は日本刀の子孫だ(笑)

2018年2月12日月曜日

お宝は自分で見つけるもの


ふるさと再発見生涯学習講座
「地域のお宝再発見」に参加。

パネリスト三人のうち二人とは
酒を呑んだことあるし、良く知っているんだけど
客席であらたまってちゃんと話を聞くと、
知らなかったエピソードも出てきて楽しかった。
米子から吹雪の中を1時間半、
車を走らせたかいがあった。

「鳥取は何もないから~という
言葉をよく耳にしませんか?
鳥取人気質として遠慮してるだけかもしれませんが、
実は私たちが気づいていないだけで、
鳥取にはたくさんのお宝があります」という
冒頭に語られた中原斉さんの言葉に共感する。

「何もないから~」ではなくて
「何も知らないから~」あるいは
「何も勉強する気がないから~」だろう。
これは鳥取県人に限ったことではなく、
日本人全般に言えることだと思う。
身の回りにあるもの、起こっていることに
興味を感じず、無関心な人ほど、
日常がつまらない、人生が面白くない、
自分は不幸だと感じ
などとおっしゃる。

これからの日本は観光を
経済成長の柱にする必要がある。
特に、地方ほどその気構えが必要だ。

自分たちが面白くないと
思っているものを
だれが面白がってくれるの?



イカ刺し


朝獲れだというシマメイカを刺身でいただいた。
手打ちウドンくらいに切りそろえられているから
言うわけじゃないけど、
ハンパなくコシが強かった。
アニキサス対策で横方向にも細かく切れ目が
入れてあるんだけど、それでも口の中で
跳ね返るような力強さがあった。
歯ごたえを感じているうちに
ほんのり甘さが広がってくる。
これはどうしたって、日本酒で
お迎えしなければならない~!

フライング気味だったけど、ビールを呑みきる前に
冷酒を頼んでおいてよかった。
イカの舌触りを楽しみながら、
日本酒の薫りを鼻口にくぐらせる。
うほほ。これは、たまりません。

しかも、添えられたワタが最高。
新鮮でコッテリと甘い。
もうすぐバレンタインだけど、チョコより甘いんじゃないの?
冷酒を使って甘さをほどいて、流し込む。
う~。美女軍団よ、チョコはいらない、ワタをくれ。

山陰は再び寒波に襲われ、
陽が沈むと底冷えがキツイ毎日だ。
でも、漁師さんのおかげで、こんなウマイものを
いただいております。
ありがとうございます~。

2018年2月10日土曜日

吉原で、お化けと遭遇!



2月4日、浅草の長國寺での
講談会(辻講釈)が終わって
懇親会場に向かう途中、
とてつもない集団と遭遇した!
場所は有名な吉原神社のそば。


つぎつぎ、神社の方から怪しい人たちが現れる


途中でポスターを発見。
そっか~!
面白いイベントが近所でやってたんだ~。


いちばん最初のキツネ面のお化けが
のし袋を見せびらかしていたから、
どうやら賞金をゲットしたみたい。



2018年2月2日金曜日

南南東が恵方だってさ


事務所で恵方巻をいただいた。
評判のいい海鮮丼屋が作った海鮮巻なので、
なかなか美味しい。

とはいえ。
節分に恵方巻を食べる習慣なんて
そもそも山陰にはない。
チョコを売りたい製菓業界に
バレンタインデーが利用されたように
コンビニ業界が恵方巻を広めたんだよな。
関西の風習を利用して
セブンイレブンが全国展開してすっかり定着、
こうして流行が嫌いなワタシまで
口にするようになったわけだ。

今年の福の神のいる方角「恵方」は
南南東なんだそうだが、
縁起をかつぐのも嫌いなワタシは
方角なんか気にして食べたりしない。
「恵方」を向いて食べると幸運になる?
もっともらしくテキトーなこと言ってるよ。
だいたい、そんなに正確に
方角なんてわからないだろう。

あ、スマホに方位がわかるソフトがあった。

立ち上げてみた。
おお!なんてこった
ちょうど南南東を向いて食べていたぞ。
こいつは、春から縁起がいい!

・・・テキトーだよなあ。