ウグイス界の、最高歌手ではないかと
思われるような、スゴイ美声を聴いた。
島根半島・枕木山の山頂付近にある
臨済宗南禅寺派の古刹
華蔵寺(けぞうじ)にお詣りした時のこと。
降り続いていた雨がすっかり上がって
みるみる青空が広がっていく。
新緑が目に鮮やかな森を
さわやかな風が吹き抜けていた。
その時、至近距離からウグイスの鳴き声。
オペラ歌手のようにたっぷりとした声量
実に浪々とした調子で
ホー、ホケキョウ♪
これまで聴いたどんなウグイスよりも
美声で声量があった。
昔からウグイスは「ほ~法華経」と鳴くと言われるが
本当に、これでもか!というくらい
きちんとホケキョウと発声していた。
そもそもウグイスの鳴き声を
法華経と結びつけたのは、
戦国時代、臨済宗の僧・惟高妙安だそうで
著書の「詩学大成抄」(永禄年間1558〜70頃)に
《鶯が法華経とたかだかと鳴いたは》とあるそうな。
実はこの妙安和尚、30年間も
ここ出雲・伯耆で暮らしていたらしい。
同じ臨済宗で、しかも京都の本山
南禅寺の住職だった人だから
当然、この華蔵寺も訪れているはずだ。
というより住んでいたかもしれない。
すると、妙安和尚が聴いたウグイスは
華蔵寺のウグイスだったかもしれない!
そのころから
ここのお寺のウグイスは
「法華経とたかだかと鳴く」
由緒正しい正統の流派だったのだ!
お寺は住職が変わっても
代々同じ教えを伝えていくように
ウグイスも、代々美声を引き継いでいくとしたら
なんとも面白いではないか。
そういえば去年参拝した時も、
ウグイスが鳴いて、
美声だと感心した憶えがある。
同じウグイスだろうか。
それとも、代替わりしてるのかな。
ホケキョウ流ウグイス
第1280代家元とかだったりして。