2017年3月10日金曜日

なにを見つめてるの?

歌川広重が160年前に描いた浮世絵。
外の景色を眺めている猫。
いったいなにを見つめているのだろう?

遠くの富士山?
並んで飛んでいる鳥の群れ?
いやいや、視線はもっと下。
画面中央に、長く続く行列が見える。

アップした画像を良く見ると、
江戸の町民が大勢並んでいる。

「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」
という絵のタイトルからわかるのは
場所は江戸の名所で、浅草の田んぼ、
酉の市にお詣りする人の賑わいだ。

なるほど、行列のあちこちに
大きな熊手を掲げているのがわかる。
猫が見つめているのは、行列の行先
酉の市発祥の地、長國寺だ。

ということは、猫がいるこの場所は?

研究者によれば、距離と方角から類推して
吉原にあたるんだそうな。
猫は遊郭の一室から窓の外を見ているのだ。

つまり、この絵の隠されたテーマは
実は絵の左はじに描かれた
衝立のむこうにいるはずの
男女!なのだ。

浮世絵研究家の牧野健太郎氏は
当時の江戸の訳知りなら
なにげなく出窓に掛けられた
手ぬぐいの柄、畳の上のかんざし
などの散りばめられたヒントによって、
その「営業中」の男女が誰であるか
すぐに察しがついただろうと、
はおっしゃる。

江戸のゴシップというわけだ!
う~ん。面白い!

猫の視線の先にある長國寺で
いまは第一日曜日の午後1時から
講談師・宝井琴梅師匠の一門による
辻講釈が開催される。
わたしもエレキ紙芝居を披露している。
江戸情緒たっぷりの話芸と
ゴロ画伯の絵解き、
時間があったら遊びに来てください。
入場無料(投げ銭大歓迎)!


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