「お刀コンシェルジュin米子」(3/19)
というイベントに参加した。
ホンモノの日本刀を専門家の指導のもと
手に取って鑑賞できるという
めったにできない体験に興奮した。
指導に従い、まず刀にむかって一礼。
そのあと慎重に「なかご」と呼ばれる
むき出しのグリップ部分を握って太刀を立てる。
刀身だけでズッシリ重い。
ホンモノの鉄の重量感、
もうこれだけで感激。
日本人なのに、いままで実際に
日本刀を持ったことがなかったことに
いまさらながら悔しいような、
でも、ウレシイような妙な気分。
刀身全体の「すがた」を眺める。
日本刀の形状はシンプルだけど
反りの形状や太さなど
プロポーションに違いがあり
そこから制作年代や地域がわかるらしい。
次に刀身を倒し、横にして光にかざすと、
知識でしか知らなかった
刃文(はもん)が浮かび上がって見える。
刀身の白い部分と黒い部分のさかえ目の
波模様のことを指すのだが、
間近で見ると、この境界部分に
銀色の縁取りがある。
白のアウトライン、袋文字といえば
イメージしてもらえるだろうか。
ほえー。なんとも美しい。
無骨な金属ともいえる、鉄という素材が、
人の手によってこんな繊細な光沢をもつなんて。
これは現代の刀工の手によるものだが
博物館などに所蔵される日本刀の中には
千年をこすものがある。
なのに、つい今しがた生まれたように
曇りなくビッカビカに輝いている。
多くの人を魅了してきたのも納得できる。
さらにじっくり観察すると、
地鉄(じがね)に模様が浮いて見える。
おお、これが鍛え肌というやつか!
刀工が鋼を何度も畳んで折り返し、
叩いては伸ばして鍛えていく過程で
年輪のように出来るものらしい。
刀工の流派の特徴が出るとか。
これがわかるようになれば、通っぽい。
「これは板目肌ですかね」
なんて、言ってみようかな。
でもおちゃらけた知ったかぶりはやめにした。
このイベントがちょっと異色だったから。
刀剣鑑賞というと、金持ちや好事家、
年期の入った骨董好きのアダルトな趣味で、
せいぜい出張なんでも鑑定団みたいな
バラエティ番組のノリかと思いきや
ちょっと違ったのだ。
ガイナックスシアターが会場で
ゲーム・刀剣乱舞や、漫画KATANAのせいか
若い女性が中心に押し掛けていて
熱心かつ真剣に知識を吸収しようとしていた。
ポップカルチャーを入り口にしていても
日本の伝統文化に対するリスペクトは
一般人より強いのがひしひしわかる。
骨董市などでよく見かけるような
白髪の物知り風のオジサンたちがタジタジで
むしろ場違いに見えるくらいだった。
このイベントは、来年が本番の
大山開山1300年祭のプレイベントとして
実行委員会が企画した。
大山の魅力を多角的にアピールするのを目的に
大山のふもとで作刀集団を率いた
伝説の刀匠・伯耆安綱(ほうきやすつな)を
顕彰しようという試みだったのだが、
意外で面白いファン層を掘り起こすことに
成功したのじゃない?
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