山陰の季節の中で、今の時季が一番好き。
三寒四温という言葉があるけれど、
冬と春のせめぎあい、
それをダイナミックな風景で
実感できるのが山陰だ。
陽だまりの若草に春の到来を感じたら
抵抗するように冬が立ちはだかる。
北風に雪をちらつかせたり、
灰色の厚い雲で空を覆ってしまう。
はたまた島根半島に冷たい海風をぶつけ
「八雲立つ」の言葉通り、
様々な形状の雲に姿に変化させて
低空飛行で次々送り込む。
負けじと春がその雲の切れ間をやぶって、
地上に日差しを降り注いでくる。
その様子はまるでご来光、
洋風に言えば「天子の梯子」。
実に神々しい風景が展開する。
9号線のバイパスを走っていると
地上だけでなく、日本海や中海に
雲を裂いて天子の梯子がいくつも下ろされるのが見える。
時に海面にまでスポットライトが届いて、
そこだけ出来た光の輪が、雲の流れと同時に
海面をゆっくり移動していく。
そんなパノラマが車窓に飛び込んでくる。
「うおーっ」
ハンドルを握りながら歓喜の雄叫びを
思わずあげてしまう。
ひょっとすると今、この神々しい瞬間・風景に
気が付いているのは自分だけかもしれない!
てことは、てことは
自分だけに与えられたミラクルなのでは~!
・・・そんなプライベートな風景に出会える
この季節の山陰こそおススメです。
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