体をひねらないと通り抜け出来ないくらい、異常にせまくて長い通路。
両側は土壁で、天井の高さは3~4メートルはある。
ここを通り抜けると、開放感あふれる広い空間が現れる。
答えはBAR。「大正蔵酒場」
大正8年に建てられた古酒蔵をリノベートした多目的スペースで
普段は不定期開催のギャラリーだったりイベントホールだったりするのだが、
今月末から心地よい季節の間だけ、
中庭を酒場として開放するのだ。
かなり立派な酒蔵だったので、利用できる空間はメチャメチャ広い。
そして計算された照明が、重厚で味のある雰囲気を作り、
魅力的で創造的な空間を演出している。
ところがここは金曜日の夜だけ営業という、実に期間限定なお店。
さらに、淀江にあるので、呑みに行くには
行き帰りを本数の少ない山陰線に乗らなければならない。
米子の駅前には個性的でおいしい飲み屋がいっぱいあるから、
「なにも」「ワザワザ」な感じが大きい。
しかし、ワタシは好きだ。今季の開店をずっと待ちわびていた。
きっと、空間と照明のせいだと思う。
呑みに行く店を決めるには、「酒の種類」「料理」「値段」「雰囲気」などの
さまざまな項目がある。
「空間」と「照明」が上位にあがることはあまりない。
だけどここは別格なのだ。琴線に触れる。音叉が共鳴する。
いや、そんなにカッコいいもんじゃないか。
言ってみれば、誘蛾灯(ゆうがとう)に集まる虫みたいなもんかもしれない。
オーナーで、インテリアデザイナーのなっちゃんの仕掛けた、
空間と照明におびき寄せられた
飛んで火にいる夏の虫。
光に集まる性質を走光性というそうだけど、
店には走光性の同志がいっぱいやってきて、実に楽しい夜だった。
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